看護師と偶然
人生は色々な事があると思いますし、平凡な人生などは存在しませんし、特殊な商売についている方は、さらにそれらが顕著に表れると思います。
そして、看護師などの仕事は、患者の生死にかかわりますので、サラリーマンの様な職業をしている方に比べると、少しだけ濃い人生になるかもしれません。
私の知人の看護師の話しですが、看護学生の実習中にある少年と出会ったそうです。
その少年は難しい病気を患っていたらしく、知人の看護師がいる病院では、専門的な検査が出来ないらしく、他の病院に転院する事になったそうで、知人の看護師は少年と仲が良くなっていたので、治療の行く末が見守れなくなってしまった事を残念に思ったそうです。
少年が転院してしまう日に励ましの手紙を渡したそうで、親御さんには一応家の電話番号を聞いておいたそうです(その当時は携帯電話も普及していませんでした)。
知人の看護師も少年のその後が気になっていたものの、学生の身であり大変忙しい身分だったので、しばらく少年の家に連絡する事が出来なかったといいます。
特に忙しい期間が過ぎたので、その後を知るため少年の家に連絡をいれた所、電話番号が繋がらなかったそうで、何があったのかと心配が募ったそうですが、何かを出来るわけではないので、心の奥底に少年の行く末を心配しながら日々を過ごすしかなかったそうです。
看護師と偶然(後半)に続きます。
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看護師と偶然(後半)
時は過ぎて、知人の看護師も看護部長になる様な歳になりました。
学生時代の病院には勤めておらず、もっと大きな大学病院で勤務しています。
するとある日、不思議な体験をしたのです。
当時の少年が夢の中に挨拶に現れたのです。
写真が残っているわけではなく、今でも心の隅にはあるものの、少年を思い出す事も少なくなり、顔も覚えていなかったのですが、夢の中の少年の姿は当時をはっきりと思い出せるほどしっかりしたものでした。
少年は夢の中で、当時世話になったにも関わらず、挨拶もできなかったので、挨拶しに来たそうで、ひとしきり挨拶が終わると眼が覚めてしまったのだといいます。
何故、いまさらその様な夢を見たのかはわかりませんが、知人の看護師は少年の行く末を悟ったのです。
そして、さらに不思議な事がおきました。
ある日、病院に新しく入社してきた看護師がいたのですが、入社の挨拶の時に看護師になった切っ掛けを語ったところ、若いころに病気を患った事だそうで、その当時世話になった看護師に憧れて看護師になったのだといいます。
さらには、看護師から貰った手紙を今でも大切にもっているそうで、それが例の少年だったのです。
今でも、当時の看護師に再開出来る事を願っているそうですが、それが、看護部長になっているとは気付いていないそうです。
知人の看護師は、今でも正体は明かしておらず、いつ話してやろうかと、ほくそ笑んでいるといいます。